津久井・相模湖・藤野など、豊かな里山が広がる相模原では、住まいだけでなく空き家や山林を相続する可能性がある方もいるでしょう。
では、相続にあたって何を準備すべきでしょうか。
ここでは、相模原の空き家相続で「まずやるべきこと」を整理します。

近年での相模原の空き家事情―ピンチかチャンスか?
相模原市の空き家は、2023年に行われた国の住宅・土地統計調査で**約30,200戸(空き家率8.2%)**とされています(出典:第2次相模原市空家等対策計画)。
実は数字だけ見ると、2018年より空き家の総数は減っています。
ただ、内訳を見ると印象が変わります。
賃貸用・売却用・別荘などは減った一方で、賃貸にも売却にも出ていない空き家は約1,400戸増加しています。
つまり相模原では「空き家がなくなった」というより、市場に出しづらい空き家が残りやすい状況と考えられます。
一方で、津久井・相模湖・藤野などの中山間地域では、空き家や山林の活用に追い風となる動きもあります。
たとえば相模原市は、森林空間を生かし、地域の課題解決と収益を両立させる取り組みとして「里山体験講座」を実施しています。
さらに2025年度は市民との協働事業として、「里山保全・再生と活用のモデル検討」を掲げています。
手入れ不足になりがちな里山を、活用とセットで再生していく考え方です。
空き家を相続するにあたり、相続した空き家や山林を「いますぐどうするか」を即断できないことは珍しくありません。
ただ、悩んでいる間に放置することにリスクはないのでしょうか。
次の章で、空き家を放置した場合に起こり得るリスクを整理します。
空き家を放置すると何が起きる? 5つのリスクと対策
相続した空き家や山林は、「売る・残す・貸す・解体する」など選択肢が多く、すぐに決めきれないこともあります。
遠方で見に行けない、家族の意見がまとまらない、気持ちの整理が追いつかない。そうした事情もあるでしょう。
結論を急がず、冷静に判断する時間は必要です。
ただし大切なのは、判断するまでの間にトラブルが増えない状態を作ることです。
扱いを決めきれず、そのまま放置してしまうケースも見かけます。
しかし放置は、思わぬ損失や負担につながることがあります。
ここでは、放置で起こり得る代表的なリスクを5つに整理します。
ご自身の状況に当てはまりそうなものがあるか、目安として確認してみてください。
1. 税・優遇の喪失(固定資産税の負担が増える可能性)
空き家の管理が行き届かず、行政から改善を求められる状態(「管理不全空家等」や「特定空家等」と呼ばれる区分)になると、住宅用地の特例が外れることがあります。
その結果、固定資産税が最大6倍に増える場合もあります。
「気づいたら負担が急に重くなる」という形で家計に響きやすいリスクです。
放置が長引きそうなときほど注意が必要になります。
2. 維持管理費(小さな出費が積み上がる)
空き家でも、水道・電気の基本料金、火災保険、庭木の剪定費用などは発生し続けます。
近隣トラブルを避け、物件の価値を保つためのコストです。
月々の金額では目立ちにくいかもしれません。
ただ、時間とともに確実に積み上がり、損失になりやすい負担です。
3. 事故・火災・越境などの管理責任(起きたときの影響が大きい)
家屋の倒壊、屋根材の落下、失火、敷地からの枝木の越境などがきっかけで、近隣に被害が出ることがあります。
その場合、損害賠償に発展し得ます。
頻繁に起こるものではないかもしれません。
ただ、いざ起きたときの影響が大きく、金銭だけでなく近所付き合いにも波及しやすい点が不安材料です。
4. 治安・景観の悪化(近隣との関係がこじれやすい)
管理不足による景観悪化が続くと、近隣住民は不安を感じやすくなります。
苦情が入ったり、関係がこじれたりすることもあります。
特に、連絡が取れない状態だと緊急時の対応が遅れやすく、不信感につながりがちです。
少なくとも**「連絡が取れる状態」**を作るだけでも、いざというときの対応が早くなります。
5. 物件の価値低下(売れる芽を時間で削る)
換気・通水・点検を長期間しないと劣化が進みます。
補修費がかさむだけでなく、「売りにくさ」も増えていきます。
売却や活用の可能性が残っていたとしても、放置が長いほど選択肢が狭まりがちです。
これは、将来の選択肢を時間で削ってしまうタイプの損失です。
これらのリスクを避けるため、まず取り組みやすい対策は「トラブルになりそうな芽を増やさない」ことです。
目安としては月1回、次の点を確認しておくと安心につながります。
敷地の荒れ、外壁の傷み、郵便物の滞留、庭木の越境、異臭や破損の有無などです。
問題が起きそうな要因がないか、定期的に見ておくのがポイントになります。
もし遠方で対応が難しい場合は、管理委託を検討する方法もあります。
無理のない形で「放置しない状態」を作ることが、結果的に負担とトラブルを増やさない近道です。
相続が決まったらまずは“期限”だけでも押さえる
ここからは相続準備の話です。
空き家や山林を「売る」「残す」「活かす」と判断するにしても、相続手続きを進める場面が出てきます。
とはいえ相続は、やることが多いものです。
気持ちの整理に時間が必要な方もいるでしょう。
そんなときは、いきなり全部を理解しようとしなくて構いません。
まずは期限があるものだけでも押さえておくと安心につながります。
準備しないまま時間が過ぎると、手続きや権利関係で動きづらくなることがあります。
親族間で話がこじれやすくなる点も見逃せません。
負担やトラブルを増やさないために、ここでは「期限がある手続き」と「タイミングを間違えると揉めやすい代表例」を要点だけ整理します。
相続放棄 3カ月以内
相続放棄は原則として、親族が亡くなったことを知ってから3カ月以内に判断が必要です。
手続きは家庭裁判所で行います。
期限を意識せずに放置すると、「単純承認」(相続を受け入れた扱いになることがある状態)になり得ます。
迷っている場合でも、まずはこの期限だけ先に意識しておくと考える時間を確保しやすくなります。
相続登記 3年以内
相続登記は2024年4月1日から義務化されています。
基本は不動産の取得を知った日から3年以内です。
遺産分割(相続人同士で分け方を決めること)をした場合は、成立日から3年以内となります。
違反は10万円以下の過料の対象になり得ます。
手続きのハードルを感じる方もいます。
ただ、まず大切なのは期限を外さないことです。
相続税の申告 10カ月以内
相続税の対象になりそうなら、開始を知った日の翌日から10カ月以内に申告・納付が必要です。
書類が多いため、時間がかかりやすい点も現実として押さえておくと良いでしょう。
また山林を相続する場合、登記とは別に市町村への所有者届出が90日以内に必要です。
未届は過料となる可能性があります。
いずれも例外や自治体ルールで差が出ることはあります。
それでも、戸籍や固定資産関連の資料を集めておくだけで動きやすくなります。
相続人同士の連絡ルートを作っておくのも有効です。
いざ対応が必要になったとき、手続きがスムーズに進みやすくなります。
「まだ結論は出ていないけれど、準備だけは進めておきたい」。
そんな状況なら、まずはここから着手するのが現実的です。
どこに相談すればいい?相模原の空き家・相続の相談窓口
ここまでで、相模原で空き家や山林を相続する場合に、まず意識すべき点が見えてきたかと思います。
放置リスクと、期限のある手続きです。
次に考えたいのは、「維持するだけで終わらせず、具体的にどう動くか」という点になります。
空き家は、売却・解体・運用のどれを選ぶにしても、書類作成や手続きが多いのが実情です。
その結果、何から進めればいいのか分からない状態になりやすいでしょう。
そこで、相模原で空き家や相続について相談できる行政窓口を紹介します。
相模原市 住宅課(空き家対策班)
空き家の管理や売却について、些細なことから相談できる相模原市の窓口です。
相談前に完璧な資料を揃える必要はありません。
ただ、次の4点だけでもメモしておくと話が進みやすくなります。
- 空き家・山林の住所(分かる範囲で)
- 居住の有無(いま住んでいる人がいるか)
- 目立つ劣化状況(庭木、ゴミ、外壁の傷みなど)
- 相続人が単独か共有か(共有なら把握できる範囲で)
これに加えて「困っている理由」を短く言葉にできると、次に何をすべきかが見えやすくなります。
連絡先
- 電話:042-769-9817(住宅政策班・空き家対策班)
※(参考:受付時間の記載あり)平日 8:30〜17:00 - FAX:042-751-9674
- 住所:〒252-5277 相模原市中央区中央2-11-15 市役所第1別館2階(住宅課)
- メール:jutaku@city.sagamihara.kanagawa.jp
- 詳細ページ:https://www.city.sagamihara.kanagawa.jp/kurashi/1026489/sumai/1026511/1007961.html
相続でお悩みの方は、アストルム法律事務所でもご相談をお受付しております。
不動産の相続は、司法書士や税理士など複数の専門家が必要となることも多いものです。
そのため「自分ですべて管理するのは不安」と感じる方もいるかと思います。
当事務所はそうした専門家との連携体制を整えており、一貫してご相談が可能となっております。


