相続した実家を売りたいのに兄弟が反対したら?遺産分割協議・共有名義・調停の進め方

遺産として実家が残る場合、売るか残すかで家族の意見が割れることは少なくありません。

しかし売るにしても残すにしても、相続が始まってすぐの段階なのか、すでに兄弟で共有登記されているのかによって、必要な手続きや使える制度は変わります。 この記事では、実家の売却問題をめぐる法的な立場と権利の基本について解説します。

目次

兄弟が実家の売却に反対しているときは、まず遺産分割前か共有名義後かを確認する

基本的なことだと感じるかもしれませんが、実家の売却について話し合う際、最初に確認すべきなのは、その実家の所有者が誰であるかを明確にすることです。

実家の土地も建物も親御さん名義の場合、親御さんが亡くなり、遺産分割協議(財産を相続人全員の話し合いで分ける手続き)が終わる前であれば、実家は相続人全員の共有状態として扱われます。

この段階では、相続人の一人が単独で処分できるものではありません。

一方で、遺産分割を経て共有名義になっている場合は、主に共有関係をどう解消するかという問題になることがあります。

また、親御さんが遺言書で実家を誰に相続させるか指定している場合は、遺言書の種類によって必要な手続きが異なります。

親御さんの死後に自宅などで遺言書が見つかった場合、すぐに自分たちで開封することは避けましょう。

紛失や改ざんを防ぐため、公正証書遺言や法務局の自筆証書遺言書保管制度などを利用する方法もあります。

公正証書遺言や、法務局で保管されている自筆証書遺言などの一部を除き、遺言書は家庭裁判所で検認を受ける必要があります。

封印のある遺言書は、家庭裁判所で相続人またはその代理人の立ち会いのもとでなければ開封できません。

内容を急いで確認したくなるかもしれませんが、勝手に開封しないことも重要です。

相続した実家を売却するには、遺産分割協議で相続人全員の合意が必要

親御さんが亡くなった後、自分が実家の管理を担っている、固定資産税を払っているとなると、「ここまでしているのだから、売却を進める権利があるはずだ」と感じるかもしれません。

しかし、遺産分割協議が終わるまでは、実家を相続人の一人の独断で売却することはできません。

遺産分割協議とは

亡くなった方(被相続人)の遺産を、「誰が」「何を」「どの割合で」引き継ぐのかを、相続人全員で話し合って決める手続きのことです。

預貯金の解約や不動産の名義変更(相続登記)、相続税の申告など、その後のあらゆる相続手続きのベースとなる、非常に重要な話し合いです。

遺産分割協議の結果は、相続人全員の合意のもと、内容を遺産分割協議書として残しておくことが重要です。

実印の押印や印鑑証明書の添付によって、後から確認できる形にしておきましょう。

兄弟が同意しない・印鑑を押さない場合は遺産分割調停を検討する

遺産分割協議を進めるにあたり、兄弟が「実家を売りたくない」と主張し、一方で管理には関わらず、納得がいかないというケースもあるかと思います。

ほかにも、話し合いのために連絡しても返事がない、日程を決めても先延ばしにされる、相続人の一人が印鑑を押さないために協議書も登記も進まない、といった状況もあります。

このように、遺産分割の話し合いが家族だけでは難しい場合は、家庭裁判所に間に入ってもらい、解決を目指す遺産分割調停を利用できます。

遺産分割調停とは

相続人の一人または複数人が、申立人となっていない他の相続人全員を相手方として申し立て、実家を含む遺産全体をどう分けるかを話し合いで整理していく場です。

調停では、相続人同士が直接言い争うわけではありません。

調停委員会が各当事者の言い分を聞き取ったうえで、合意に向けた調整や助言を行います。

全員が納得して合意に至ると、家庭裁判所が「調停調書」という公的な書類を作成します。

調停調書には、確定した遺産分割審判と同一の効力があります。

この書類を使うことで、不動産の名義変更や預貯金の解約といった各種手続きを進めることができます。

実家を売るのか、誰かが取得するのか、他の財産との関係でどう調整するのか。

こうした問題を、家族間の感情だけに委ねずに進めやすくなります。

調停を申し立てる段階では、不動産の目録や、固定資産税・管理費の支払いを証明する書類など、話し合いに必要な資料をそろえる必要が出てきます。

感情的な主張だけではなく、具体的な書類の準備も進めておきましょう。

共有名義の実家は全員の同意がないと売却しにくい|共有状態の解消を考える

相続の話し合いの結果、実家を兄弟の共有名義にすることがあります。

一見すると、公平に分けたように見えます。

しかし、共有名義の不動産全体を売却するには、原則として共有者全員の同意が必要です。

つまり、持分が大きい人や、固定資産税・管理費を多く負担している人であっても、実家全体を単独で売ることは基本的にできないという側面があります。

共有名義の状態で実家を売却したい場合、同意をもらう以外の手段として、共有状態そのものを解消する方法も考えられます。

共有者であれば、「共有物分割請求」という方法によって、裁判所に共有関係の解消を求めることも検討できます。

兄弟が実家の売却手続きを勝手に進めた・売却代金を分けない場合は弁護士に相談する

実家をめぐる対立の中には、「十分な説明や合意のないまま売却手続きが進められた」「売却代金を代表者が受け取ったまま分配しない」といった形で、売却や代金管理をめぐる問題が紛争化する場合もあります。

あるいは、売却代金を代表者が受け取る場合でも、誰がいくら受け取り、どの費用を差し引き、残額をどう分けたのかが曖昧なままだと、後から争いにつながります。

「代金を独占された」「本来の取り分を受け取っていない」といった問題になることもあります。

こうなると、家族間の話し合いだけで片づけるのは難しくなります。

弁護士に相談して権利関係と資料を整理し、解決方法を検討していくことが有益な場合があります。

まとめ

実家の問題は、思い出や介護の負担、兄弟間の過去の不満が重なりやすいテーマです。

だからこそ、どちらが正しいかを急いで決める前に、状況を整理して、いま必要な手続きを見極めることが大切です。

家族だけで解決できない段階に来ているなら、早めに法的な相談へ切り替えることも選択肢です。

アストルム法律事務所では、家族間のもめごとのご相談も受け付けております。

資料などが集まっていない段階でもご相談可能です。

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