【相模原は土地の60%が山林・田畑】山や畑に家は建てられるのか、法律の基本を解説

親御さんの土地を相続したとき「思い切って家でも建てちゃおうか」と考えることがあるかもしれません。ところが、実は土地は利用目的が決められており、同じ”土地”でも畑や山林という扱いになっていると自分の土地であっても好きなように家を建てられない可能性があります。この記事では、自分の土地がどのような土地なのか、家が建てられるのか、何をどの順番で確認すればよいか、などをまとめていきます。

目次

自分の土地でも、家を建てられるとは限らない

家や庭、畑に裏山など、親御さんの土地を相続すると「何に利用しようか」とワクワクしてしまう方もいるのではないでしょうか。さらに、その土地がひと繋ぎになっている広い土地だと、なおさら様々な計画を思い描いてしまうかもしれません。

ところが、ひとつにまとまった土地に見える場合でも、登記(登録されている権利の記録)の上ではどこまでの範囲が何のために利用される土地か区切られています。何を利用するかを記録したものが地目、その範囲を地番といい、「筆」という単位で分かれています。つまり、土地は見た目では一つにつながっていても、何に利用できるかは細かく分かれている可能性があるということです。

地目・地番は住所とは異なるため、日常生活ではあまり気にすることはないかもしれません。相続をきっかけにその内容を知る人も少なくないかと思います。土地を相続する際は、まずはその土地がどのような扱いになるのか確認してみましょう。

畑・山林・雑種地でも「自分の土地だから自由に使える」とは限らない

先に述べた通り、登記上の土地は、宅地・田・畑・山林・雑種地など地目が記載されており、何に活用される土地なのかが決まっています。

宅地は建物の敷地などに使われる土地、田や畑は農作物を育てる土地、山林は竹木が生育する土地、雑種地はそれ以外の用途に使われる土地、と大まかに考えると分かりやすいでしょう。こうなると、宅地ではなく畑や山林が地目になっている場合「そこには家が建てられないの?」と考えるかもしれません。

しかし、地目だけで、家を建ててはいけない土地だと決まるわけではありません。

土地の活用や固定資産税は、登記上の地目の表記だけでなく現況を見たうえで判断されます。

例えば農地を宅地として利用したい場合、農地の転用を希望する場合、相続登記とは別に農業委員会への届出と転用の手続きが必要です。このように、転用する地目ごとに専門機関での手続きが必要です。

また、いずれの場合も所有者の希望だけで転用できるわけではありません。まずは名目ごとに法的な要件を満たしている必要があります。例えば宅地として利用する場合、その土地が道路に接している必要がある、などのいくつかのルールが法律で定められています。さらに、その地域ごとに森林計画や市街化調整区域の対象地域として指定されている場合があります。この状況によっても転用できるかどうかは異なります。そこで次は、土地にどんな制限がついているかを確認する方法を見ていきましょう。

家を建てられる土地か、まずは簡単にチェックする

ご自身の持つ土地が家を建てられる土地かご確認いただく際は、最終的には行政機関での詳しい確認が必要となります。ここではその前段階として、家を建てられる土地か、比較的簡単にご確認いただける4つのポイントをご紹介いたします。この前提を把握したうえで詳しい確認を進めると、話しが理解しやすいかと思います。それぞれ確認してみましょう。

①市街化調整区域ではないか

最初に確認したいのが、その土地が市街化区域なのか、市街化調整区域なのかという点です。

市街化区域はすでに市街地になっている場所や、今後おおむね10年以内に優先的・計画的に市街化していく区域です。一方で市街化調整区域とは、無秩序に市街地が広がることを防ぐため、住宅を含む建築物の建築が制限されている区域です。もしお持ちの土地が市街化調整区域に指定されている場合、地目を変えれば建てられる、と単純には考えられません。

その土地のある市町村によってはインターネット上でその情報が公開されている場合がありますので、確認してみましょう。

②農地なら「農用地区域内農地」など転用が難しい土地ではないか

同じ農地でも、住宅などへ転用しやすい土地と、転用が難しい土地があります。特に農用地区域内農地などは、農地として国益を守ることが前提になっています。この場合は簡単に住宅用地への転用は認められません。農地については、まずその土地がどのような区分にあるのか、転用の見込みがあるのかを農業委員会などで確認しておく方が現実的です。

③住宅を建てられる道路に接しているか

住宅を建てるための条件の一つとして、その土地が道路に接している土地である必要があります。これは現地を確認に行って、目でみて「道路には接しているから問題ない」と考えてしまう人もいるかもしれませんが、それだけでは確認として不十分です。

見た目で道路があることと、登記上で住宅を建てるための条件を満たす道路に接していることは同じではないからです。特に昔から使われてきた山林や農地では、農作業や管理のための通路はあっても、住宅建築を前提とした道路条件を満たしていない道路ではない場合があります。現地の印象だけで判断せず、行政へ地番を示して確認することが必要です。

④斜面がある場合は災害関係の規制がないか

山林など、斜面がある場所では、地目だけを見ればよいわけではありません。その土地には災害に関する規制が重なることもあります。仮に法律上は家屋の建築が可能な土地だったとしても、災害防止や安全上の観点から、斜面を整えたり安全対策を行う義務がある場合も考えられます。これらの措置には一般的に大きな費用がかかるため、住宅用地として現実的か、この点も合わせて確認したいポイントです。

自分の土地がどのような土地か確認するための5ステップ

段々と家屋が建てられる土地の条件のイメージが湧いてきたでしょうか。次は、実際にあなたの持つ土地がどのような土地であるか、家屋を建てられる土地なのかを確認する方法を確認していきましょう。ここでは、大きく5ステップに分けてご案内していきます。

STEP1 納税通知書・名寄帳で親名義の土地を洗い出す

あなたがまだ土地を相続する前、あるいはその途中の場合、まず確認したいことは「亡くなった親御さんがどのような土地を所有していたか」です。手元に固定資産税の納税通知書や課税明細書があれば、そこから相続予定の土地を確認できます。

資料が見当たらない、ほかにも土地があるかもしれないという場合は、名寄帳(なよせちょう、その自治体内にある土地や家屋などの不動産を所有者ごとにまとめた一覧表)を使う方法があります。市町村によっては相続人(遺産を受け取る人)が土地・家屋名寄帳証明書を取得できる仕組みがあります。まずは確認してみましょう。

STEP2 登記で地番・地目・面積を確認する

保有する土地の全体像が見えてきたら、一筆ずつ登記を確認します。見るのは、地番、地目、面積、所有者などです。

特に重要なのが地番です。まずは最寄りの法務局で登記簿謄本や公図を取得しましょう。

STEP3 地図で「その土地がどこなのか」を確認する

ここは感覚だけではわかりにくいかもしれませんが、地番が分かっても、現地のどこを指しているのか分からないことがあります。地番は土地を区分するためのもので、住所とは別のものだからです。

その地番がどこにあるのかは公図などを使い確認します。

STEP4 現地で道路・境界・現在の利用状況を見る

登記簿謄本を確認しても、登記内容が古い場合などは、その内容と現地での利用方法が一致しているとは限りません。登記では畑とされていても、木が生い茂っていたり、道路から入れなかったり、境界がはっきりしなかったりすることがあります。誰かが駐車している、近隣の人が通路として使っている、といった状況が見つかることもあります。

ここで重要なのは、その場で権利関係まで詰めて考えることではなく、行政や専門家へ相談するときに必要な現状を把握することです。

STEP5 地番と「建てたい家」の情報を持って行政へ確認する

書類と現地を確認したら、地番と具体的な用途を持って改めて行政へ相談します。「この土地はこの目的で使えるか」ではなく、「この地番の土地に、自分が住む一戸建てを建てられるか」と具体的に伝えることができると、その後の確認がよりスムーズに進みます。

また地目によって、農地なら農業委員会、森林なら森林政策関係、市街化調整区域などの建築・開発なら開発調整関係というように、それぞれの窓口は分かれるので、ご相談の際はご注意ください。

家を建てないならどうする?農地・山林を「実質的な負債」にしないために

ここまでの話しのもと、ご自身の土地を調べてみた結果「住宅は建てられない」や「建てられても造成や安全対策に費用が掛かりすぎる」とわかることもあるかもしれません。かといって「農地として利用する予定もないから、実質的には持っていても税金だけかかる負債みたいなものじゃないの?」と感じることもあるかもしれません。

しかし、そんな農地や山林も、貸付を考える、条件を確認したうえで売却する、といった活用方法も考えられます。一方で、「相続した土地のうち、この農地だけ要らないから放棄する」ということはできません。相続放棄は特定の土地だけを選んで行う制度ではなく、相続そのものについて放棄する手続きです。

相続した土地は、最初から「これに使おう」という答えを決めるより、まずは土地の状況を一つずつ確かめることで、次に取るべき行動が見えやすくなります。

ご自身の土地の状況を確認していった結果、相続人同士で誰が土地を取得するかまとまらなくなった、あるいは、近隣住民が勝手に土地を使っているなど、何かお困りの場合はアストルム法律事務所でもご相談を受け付けております。お悩みの際は、ぜひご相談ください。

監修 弁護士
アストルム法律事務所 若山 桃子

経歴

  • 同志社大学法学部法律学科 卒業
  • 同志社大学法科大学院 修了
  • 2010年 弁護士登録

若山桃子について、詳しくはこちら

監修 弁護士
アストルム法律事務所
若山 桃子

経歴

  • 同志社大学法学部法律学科 卒業
  • 同志社大学法科大学院 修了
  • 2010年 弁護士登録

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